
借金返済の苦しみから逃れるために、夜逃げをしようとする人もいます。
借金には時効もありますし、必死になって逃げればなんとか問題も解決するのではと考えがちですよね。
でも、本当に夜逃げで借金問題は解決するのでしょうか?
夜逃げとは?

夜逃げとは、読んで字のごとく、夜間に人知れず逃げる様に急いで引越しをすることです。
夜逃げでは、通常の引越しとは異なり、引越しをすることや引越し先を周囲の人に知らせることなく実施します。
普通の引越しの様に家財道具を運ぶ夜逃げもあれば、リュックサックや手提げかばんなどに必要最低限の物だけを詰め込んで行う夜逃げもあります。
周囲の人は、夜逃げをした後に初めて引越しをしたことを知ることになります。
借金問題が原因で夜逃げをする人は「借金返済ができない」、「家賃や水道光熱費を滞納している」といった理由で夜逃げを決行するケースが多いようです。
ちなみに、夜逃げをする行為自体には違法性はないので、夜逃げをしたからといって罪になることはありません。
ただし、夜逃げは罪にはなりませんが、多くの人に迷惑を掛ける行為です。
夜逃げをする行為は賢明な行為ではありませんが、需要があるためか夜逃げを手助けする夜逃げ屋という業者が存在しています。
夜逃げで借金の時効成立まで逃げ切るのは可能?

業者から借りた借金の時効は5年です。
最後の返済から数えて5年ですので、何とか逃げられそうな気もします。
もちろん、夜逃げで時効を成立させる可能性はあることはあります。
しかし、時効の期間が経過してもその後、法的に時効を成立させるにはお金を借りた債権者に対して消滅時効の主張をしなくてはいけません。
また、時効までの期間の途中で債権者に訴訟を起こされてしまったら借金時効までの期間は延長されてしまいます。
夜逃げをしても完璧に借金の時効が成立するまで逃げ切るのは、かなり困難だと言えるでしょう。
まだまだある夜逃げのデメリット

夜逃げは、債権者へ引越し先を告げずに引越しをして逃げます。
債権者に引越し先の居場所を知られたくないからです。
住民票を移してしまうと移転先がばれてしまうため、住所変更ができません。
そうなると就職や子供の学校進学、健康保険の加入などに支障をきたしてしまいます。
夜逃げをすると借金取りから逃亡している生活なので、常に借金取りに怯える生活をすることになります。
仕事はバイトを含めた定職に就くのは困難となり、日雇い仕事に就ければ良いといったところです。
このため安定した収入は、ほぼ途絶えると考えてよいです。
借金取りから逃亡している間も貸付利息により、借金は膨らんでいるという恐怖もあります。
また、時効が成立したと思って住所変更したら、実は数え間違いで返済義務は消えていなかったなんてこともあります。
住所を移さず不便な生活を長い期間強いられたのに、移した途端取り立てがやってくるかもしれないという不安も完全には拭い去ることはできません。
果たしてそのような生活を5年以上送ることはできるのでしょうか?
まともな職に付けず賃金も安い状態なら、新たな借金をする必要が出てくるかもしれません。
でも、夜逃げ状態だとまともなところからは借りられません。
つい闇金に手を出してもっとひどい借金地獄に陥ってしまう羽目になる事も考えられます。
借金で夜逃げをすると多くの人に迷惑を掛ける

夜逃げをしてしまえば、逃げた本人は責任逃れができるかもしれないが多くの人に迷惑を掛けることになります。
借入先金融業者
お金を貸す際に保証人を設定していなかったり、保証人と連絡がつかない場合には債権が回収できないため、不良債権となります。
また、借金の時効期間を延長する為に訴訟を起こした場合には、訴訟費用が発生することになります。
保証人
借金の保証人となっていた方は債権者から借金の返済を請求されます。
また、引越し前に賃貸住宅に住んでいて家賃を未納にしており、賃貸契約の際に保証人を設定していた場合には、その保証人の方は大家さんから未納家賃を請求されます。
引越し元の大家さん
賃貸住宅の契約の際に保証人を設定していなかった場合は、大家さんは未納家賃分の損失だけでなく部屋の修繕費用も持つことになります。
また、部屋に荷物が残っていた場合、大家さんの判断で処分することは法的にできないため、荷物の保管料も発生することになります。
家族
一緒に夜逃げをした家族は、健康保険に加入ができないので、病気に掛かったり怪我をした時に病院に掛かるのが困難となり、十分な医療を受けることができなくなります。
また、夜逃げで逃亡している時に子供が生まれた場合には、行政へ出生届ができず未就籍児となり、就学中の子供がいた場合には義務教育を受けることが困難になります。
この様に借金で夜逃げをすると家族を含めて周囲に多大な迷惑を掛けることになります。
そのため、道徳的な観点からも夜逃げは絶対に行うべきではありません。
借金問題を解決する為に債務整理をしよう

夜逃げで時効の成立を狙い、借入金の返済義務から逃れようとするのは不可能ではありませんが、デメリットを考えると得策とは言えません。
返済について悩み、夜逃げまで企てようと思い詰めているのなら、債務整理をした方がずっとよいでしょう。
債務整理を弁護士などの専門家に依頼すると、その時点で取り立てが無くなります。
自分が返済可能な計画を立てて地道に借金返済をし続けるか、借金の整理である債務整理をして債務を減額もしくはゼロにするか、どちらを選んでも夜逃げとは違いストレスが軽減されます。
ちなみに自己破産という債務整理方法を実施できた場合は、借金だけでなく自己破産確定月までの家賃や水道光熱費などの支払義務も消滅します。
それに債務整理の場合は借金問題の解決が早く、半年から1年ほどで決着がつきます。
夜逃げの様な確実では無い方法を取って大きなストレスを抱え続けるのではなく、債務整理という明確な手段で借金返済の悩みを根本的に解決しましょう。
夜逃げの代わりに実施可能な債務整理方法

借金問題を解決することを債務整理といい、一般的には債務整理を専門的に取り扱っている弁護士(法律事務所)または司法書士(司法書士事務所)に仕事を依頼することになります。
主要な債務整理方法には、自己破産、個人民事再生、任意整理があります。
其々の債務整理の特徴は、次の通りです。
債務整理方法 | 特徴 |
自己破産 |
経済的に破綻をしており、返済の見込みがない場合に、裁判所に破産申立てを行います。 裁判所で免責許可の決定が下れば、借金の支払い義務である債務は消滅します。 なお、所有財産がある場合は、換金されて各債権者に分配されます。 |
個人民事再生 |
住宅ローンを除外した借金を1/5まで圧縮した返済計画を立案して、裁判所で認可を得ることで、その計画に従って3年間で完済を目指します。 この債務整理方法を選択するためには、安定収入があることが必要となります。 土地や持ち家などの資産を失うことなく借金の整理ができる方法です。 |
任意整理 |
お金を借りている債権者と直接、交渉の場を持つことで、今後の利息カットや月々の返済額の減額(返済期間の長期化)などを目指します。 裁判所を利用しない私的整理のため、スピーディに借金問題を解決することができます。 |
現代はインターネット社会なので、地元の債務整理を扱っている弁護士あるいは司法書士を探すには、Googleなどの検索エンジンを使って探すのが、手間が掛からずもっとも効率的な方法です。
弁護士或いは司法書士に債務整理を依頼する前に、まずは借金相談を行います。
最近では、初回のみ借金相談は無料で行っている弁護士・司法書士が増えています。
実際に無料の借金相談を受けてみて、安心して任せることができそうなら債務整理手続きを依頼すると良いです。