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特定調停・任意整理の違い

債務整理方法の中でも、特定調停と任意整理の2つは非常に似通っています。

それぞれの特徴と共通点、そしてどの様な違いがあるかについて見ていきましょう。

特定調停と任意整理の特徴を知り、比較をすることで、どちらの方法があなたに合っているのかを判断することができます。

この記事を読むことで分かること
  • 特定調停の特徴と任意整理の特徴を理解できます。
  • 特定調停の手続き、任意整理の手続きに掛かる費用について知ることができます。
  • 特定調停と任意整理のどちらを選ぶべきかの判断基準が分かります。

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借金の解決方法

特定調停に特有の特徴

裁判所

特定調停の大きな特徴は、簡易裁判所で調停委員のサポートを受けて借金の減額を実現するという事です。

ここでは、特定調停に特有の特徴(任意整理にはない特徴)について解説をしています。

特定調停に特有の特徴には、次の内容があります。

  • 簡易裁判所に申立てを行う。
  • 調停委員が債権者と債務者の話し合いをサポートする。
  • 債務整理費用が低額で済む。
  • 合意が成立した場合、調停調書を作成する。
  • 合意が不成立の場合は、裁判所が妥当な決定を下す。

それぞれの内容について、分かり易く説明をします。

簡易裁判所に申立てを行う

特定調停は裁判所に申し立てを起こす必要のある債務整理方法です。

申立人の居住地を管轄している簡易裁判所に特定調停の申立てを行います。

特定調停の手続きは、弁護士や司法書士などの法律の専門家に依頼をすることができます。

ですが、手続きは割と簡単なので、法律の専門家に依頼することなく申立人のみでも特定調停の手続きは可能です。

そのため、通常は弁護士などに依頼することなく申立人自身が一人で特定調停の申し立てを行い、手続きを進めていきます。

申立人だけで裁判所に提出する特定調停の申立書を作成する際は、各裁判所に書き方の書式が用意してあるので、それを参考にして記述することができます。

調停委員が債権者と債務者の話し合いをサポートする

特定調停の申し立てが行われると、裁判所で弁護士資格を持つ調停委員が選出されて調停委員会が構成されます。

調停委員会が、「特定調停の進行」と「当事者の話しの取りまとめ」を行います。

調停委員は弁護士資格を有しているので、申立人は別途、弁護士を代理人として雇う必要がありません。

債務整理費用が低額で済む

特定調停だと、申立人は弁護士(司法書士)を雇う必要が無いので、弁護士(司法書士)に支払う報酬費用は掛かりません。

そのため特定調停は、他の債務整理方法と比較すると非常に低額で借金の整理を実現することができます。

合意が成立した場合、調停調書を作成する

特定調停では、債権者と債務者の話し合いがまとまった後、調停調書を作成します。

この調停調書には強力な法的効力があり、裁判の確定判決と同一の強制力(法律用語で「債務名義」という)があります。

つまり、合意して調停調書に記載された返済条件は、債務者(申立人)は厳守する必要があるという事です。

合意が不成立の場合は、裁判所が妥当な決定を下す

特定調停は、債権者と債務者の話し合いが合意に至らなかった場合、裁判所は「17条決定」と言われる調停に代わる妥当な決定を行います。

17条決定で当事者に異議が無ければ、合意が成立したものとみなされます。

一方、17条決定に異議があれば、特定調停は不成立で終了となります。

もし特定調停の手続きが不成立で終了した場合、申立人は他の債務整理方法で借金問題を解決しなければならなくなります。

任意整理に特有の特徴

整理をする人

任意整理の大きな特徴は、裁判所を用いずに、債権者(貸金業者)と直接、話し合いの場を持つという事です。

ここでは、任意整理に特有の特徴(特定調停にはない特徴)について解説をしています。

任意整理に特有の特徴には、次の内容があります。

  • 債権者と私的に直接交渉をする。
  • 任意整理の手続き中に過払金返還請求ができる。
  • 合意が成立したら、和解書を作成する。

それぞれの内容について、より詳しく説明をしていきます。

債権者と私的に直接交渉をする

任意整理は裁判所を使わない私的交渉なので、裁判所を使う他の債務整理方法と比較して手続きがシンプルという特徴があります。

裁判所を使わないので手続きがシンプルとなる一方、法律に詳しくない素人が債権者と直に交渉をしようとしても相手にされなかったり、交渉の場を持てたとしても話し合いで有利な条件を引き出すことは困難となります。

そのため、一般的には、任意整理の手続きは債務整理を取り扱っている弁護士または司法書士に依頼します。

弁護士または司法書士に任意整理の手続きを依頼する場合は、借入に関連した資料を整理して渡した上で、次の借金に関することについて事細かに説明する必要があります。

  • 借金に関して、嘘偽りなく正直に洗いざらい話す。
  • 毎月の返済能力について、説明をする。

任意整理の手続き中に過払金返還請求ができる

過払金とは、利息制限法に定められている法定上限金利を超えた、通称グレーゾーン金利で利息金の返済をしていた場合に発生する債権者に払い過ぎた利息金の事です。

2010年に貸金業法が改正される前から借金返済を続けていた方は、過払金がある可能性があります。

過払金があるかどうかは、借入先の債権者に取引履歴の開示を請求して取引履歴を入手後に、利息の金額を計算し直すことで分かります。

払い過ぎた利息金がある場合に、過払金を債権者から取り返す手続きが過払金返還請求です。

任意整理手続きでは、過払金があれば任意整理手続き内で過払金返還請求を行います。

合意が成立したら、和解書を作成する

債務者の代理人である弁護士(司法書士)と債権者による借金返済の条件に関する話し合いが合意に達した場合は、和解書を作成します。

なお、特定調停で合意に達した場合には調停証書を作成しますが、任意整理の和解書には特定調停の調停調書の様な確定判決と同一の法的強制力はありません。

特定調停・任意整理に共通する特徴

話し合いをする人

ここでは、特定調停と任意整理の両方の手続きに共通する特徴について、解説をしています。

特定調停と任意整理は、とても似ている手続きなので多くの共通点があります。

具体的な、共通点の内容は次の通りです。

  • 話し合いによって合意を目指す。
  • 債務整理をする債権者を選べる。
  • 借金の減額内容
  • 債務整理後の返済方法と返済期間
  • 債務整理の手続き期間

それぞれの内容について、分かりやすい様に詳細を説明していきます。

話し合いによって合意を目指す

債務整理方法には、個人再生・自己破産という方法があるのですが、個人再生・自己破産の場合は共に裁判所を利用して法律に則って借金問題を解決します。

一方、特定調停と任意整理の場合は、特定調停は裁判所を利用しますが、特定調停と任意整理ともに、裁判所の判断ではなく債権者と債務者の話し合いによって借金問題の解決を試みます。

特定調停と任意整理は、話し合いによって解決を試みるので、場合によっては合意に至らずに物別れに終わることもあります。

債務整理をする債権者を選べる

特定調停と任意整理はともに債権者が複数ある場合は、債務者が選んだ一部の債権者とだけ借金の減額交渉をすることが可能です。

債務者は、住宅ローンや自動車ローンの債権者を債務整理の対象から除外することで、家やクルマを失わずに済みます。

また、保証人付きの借金がある場合は、その借金を債務整理の対象から除外することで、保証人に迷惑を掛けずに済みます。

借金の減額内容

特定調停と任意整理は、共に借金額が比較的に少ない人を対象とした債務整理方法です。

借金の減額内容は、特定調停と任意整理は同じで次の通りとなります。

  • 今後の利息カット
  • 遅延損害金の免除
  • 返済期間の長期化(分割払いの回数増加)
  • 引き直し計算による減額

上記の「引き直し計算による減額」とは、過払金を借入元本から差し引くことで借金の減額を実現します。

また、引き直し計算の結果、借金がゼロとなる場合には、借金が残っていないことの確認を行います。

また、借金には商事債権(金融機関からの借金)の場合5年間、民事債権(個人からの借金)の場合は10年間の消滅時効期間があります。

もし、借金の時効が成立している場合は、時効によって借金が消滅したことの確認を行います。

(※注意:借金の時効が成立することはまずないので、借金の時効成立を狙おうなどとは思わない様にしてください。)

債務整理後の返済方法と返済期間

特定調停、任意整理ともに手続き完了後に、月1回の分割払いで返済をしていきます。

返済期間は、原則3年以内で、特別な事情があれば5年まで延長して完済を目指します。

債務整理の手続き期間

特定調停、任意整理ともに手続き開始から終了までの期間は、最短で3カ月程度となります。

特定調停・任意整理で異なる特徴

比較する人

ここでは、特定調停と任意整理で異なる部分を取り上げてみました。

特定調停と任意整理の異なる部分を比べることで、どちらがあなたに向いた債務整理方法なのかを判断することができます。

項目 任意整理 特定調停
代理人の設定 一般的には、弁護士(司法書士)を代理人とする。 一般的には、代理人を雇わずに本人が手続きを進める。
裁判所の利用 裁判所は利用しない(直接、当事者間で交渉)。 簡易裁判所を利用する(平日の日中に2回程度、裁判所に行く必要あり)。
手間の掛かり具合 手間があまり掛からない(弁護士などに必要書類の用意や書類作成を任せることができる)。 手間が掛かる(申立人本人が特定調停申立書の他、関係権利者一覧表や財産状況、家計の収支、家族の収入などの資料を作成する必要がある)。
借金の取り立て 任意整理の手続きを弁護士(司法書士)に依頼すると、直ちに弁護士(司法書士)が各債権者へ受任通知(介入通知)を送付するので、すぐに取り立てが止まる。 簡易裁判所に特定調停の申し立てをすることで、申立てから数日後に取り立てが止まる。
強制執行(※1)の停止 原則として強制執行は停止できない(交渉によって強制執行を停止するように依頼するのみ)。 特定調停の申立てと同時に強制執行停止の申立てが可能で、強制執行を止めることができる。
債務整理後に返済できなくなった場合 債権者は法的な手続きを経なければ強制執行ができない。 2回以上の延滞で債権者に強制執行される可能性がある(調停調書には債務名義[裁判の確定判決と同じ法的効果]があるので、債権者は裁判を経ずに強制執行ができる)。
過払金返還請求(※2) 任意整理の手続き内で過払金返還請求もできる。任意整理は、過払金返還請求を考慮した返済計画を立てることができる。 特定調停の手続き内で過払金返還請求はできない。別途、過払金返還請求の手続きが必要となる(※3)。

(※1):強制執行とは、債権者による給料や銀行預金口座の差し押さえ、自動車などの所有物の差し押さえ、家や土地といった不動産の強制的な競売の事です。
(※2):過払金が多額の場合は、借入元本が相殺されて借金がゼロになるだけでなく、相殺しきれなかった残りの過払金は過払金返還請求を行うことで債権者から残りの過払金の回収を行います。
(※3):特定調停は、清算条項「相互に債権債務がないことを確認する」に合意して調停調書を作成した場合でも、過払金返還請求を行うことができます(判例:H27年9月15日最高裁判所第三小法廷)。

特定調停・任意整理の手続きに掛かる費用

お金のマーク

ここでは、特定調停と任意整理、各々の手続きを行った際に必要となる費用について案内をしています。

費用項目 任意整理 特定調停
弁護士費用 相談料 初回30分間は無料としている場合が多い
着手金 1債権者につき2万円~5万円程度 1債権者につき2万円~4万円程度
報酬金 減額報酬:減額できた金額の10%程度
過払金報酬:[和解]回収額の20%程度・[訴訟]回収額の25%程度
基本報酬[無しの場合も多い]:1債権者につき2万円程度
減額報酬[無しの場合も多い]:減額できた金額の5%~10%程度
裁判所費用 収入印紙代 1債権者につき500円程度
郵便切手代 数千円程度

特定調停の弁護士費用は、仮に弁護士に仕事を依頼した場合に掛かる費用です。

一般的には、特定調停は弁護士に仕事を依頼せずに申立人本人で行うので、特定調停では弁護士費用は掛かりません。

また、任意整理の過払金報酬は、過払金返還請求を行った場合に掛かる費用です。

債権者から回収できる過払金がない場合には、過払金報酬は発生しません。

特定調停と任意整理のどちらを選択するかの目安

比較している人

特定調停と任意整理のどちらを選ぶかは、判断の難しい所です。

また、債務者の借入状況や返済能力によっては、特定調停でも任意整理でもない他の債務整理方法を選択した方が良い場合もあります。

債務整理に疎い素人が一人だけで、どの債務整理方法にするかを決めるのは、かなりリスクがあります。

もし誤った債務整理方法を選んでしまうと、債務整理をした後に再度、返済が困難となり、今度は別の債務整理方法を実施しなければならないという事も起こり得ます。

ですから、借金返済に困ったら、一度は債務整理を得意としている弁護士(司法書士)に借金相談をした方が良いです。

弁護士だと法律事務所、司法書士だと司法書士事務所に相談に出向くことになりますが、昨今では、借金相談の場合は30分間、無料相談としていることが多いです。

借金問題を扱っている法律事務所または司法書士事務所の中で、無料相談を実施している事務所を利用して、専門家のアドバイスを受ける様にしましょう。

ここでは、「任意整理に向いているケース」と「特定調停が向いているケース」を紹介していますが、あくまで任意整理と特定調停のどちらがあなたに向いているかの判断の一材料として利用してください。

任意整理が向いているケース

  • 本業が忙しい。
  • 有利な条件を引き出したい。
  • 過払金返還請求が必要
  • 債務整理した後でも返済を滞納する危険性がある。

各項目の内容について説明をしていきます。

本業が忙しい

任意整理は、通常、弁護士か司法書士に手続きを依頼します。

弁護士(司法書士)に手続きを依頼すれば、丸投げをすることはできませんが、大幅に借金整理の手間を減らすことができます。

そのため、本業が忙しくて時間がないという方は、弁護士(司法書士)に仕事を任すことができる任意整理が向いています。

有利な条件を引き出したい

債権者との交渉で、有利な条件を引き出したい方は、交渉のプロである弁護士(司法書士)に仕事を依頼する任意整理を選びましょう。

特定調停では調停委員が仲介役を務めてくれますが、調停委員は中立的な立場をとるので、必ずしも味方になってくれるとは限りません。

過払金返還請求が必要

引き直し計算で相殺できないほどの多額の過払金がある場合は、債権者から払い過ぎたお金を取り戻すために過払金返還請求をすることになります。

任意整理だと、手続きの一環として過払金返還請求を行うことができます。

債務整理をした後でも返済を滞納する危険性がある

特定調停だと手続き完了後の借金返済中に返済が滞ってしまうと、2回の延滞で強制執行による財産の差押えが行われる可能性があります。

任意整理だと、万一、返済を延滞してもすぐに強制執行による財産の差押えが行われることはありません。

ですから、収入が不安定で債務整理後の返済に不安を抱えている方は、任意整理を選択した方が良いです。

特定調停が向いているケース

  • 債務整理の費用を安く済ませたい。
  • 過払金返還請求をする予定がない。
  • 強制執行を避けたい。

それぞれの内容について、詳細を説明していきます。

債務整理の費用を安く済ませたい

特定調停は、弁護士に依頼することなく手続きを進めることができ、掛かる費用は合計でも1万円も掛かりません。

ですから、とにかく費用を抑えて借金整理をしたいという方は特定調停がお勧めです。

過払金返還請求をする予定がない

既に述べましたが、特定調停の手続きの中では過払金返還請求をすることができません。

ですから、特定調停を選び、かつ過払金返還請求をする場合は、自力で行うか弁護士(司法書士)に依頼をすることになります。

自力で行うと自分で債権者と交渉することになるので、相手にされなかったり不利な条件を受け入れざる負えなくなる可能性があります。

一方、弁護士(司法書士)に依頼する場合は、報酬費用が発生するため、過払金返還請求で回収できる金額が少額だと持ち出しで赤字となってしまう可能性があります。

このため、回収できる金額が少額だと過払金返還請求はできなくなります。

ですから、過払金返還請求をする予定がない場合は特定調停で良いですが、過払金返還請求を行う可能性がある場合は任意整理を選ぶ必要があります。

強制執行を避けたい

借金返済の遅延を続けると、最後は債権者によって強制執行による財産の差押えが行われます。

財産の差押えが行われる前には、必ず債務者のもとに差押予告通知が送られてきます。

差押予告通知が送られてきた段階で、すぐに特定調停の手続きを行えば、差押えの実施を止めることができます。

ですから、強制執行を受けそうな方は、対抗手段として特定調停を実施することが有効となります。

まとめ

特定調停と任意整理の手続きは、非常に似ているので、どちらを選ぶべきかの判断はとても難しいです。

そのため、債務者が一人で素人判断で決めるのではなく、無料の法律相談を利用して弁護士あるいは司法書士に借金相談をした方が良いです。

弁護士(司法書士)から、解決策のアドバイスを貰った上で、どの債務整理方法を実施するかを決めましょう。

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