
借金返済で苦しまないようにするには、しっかりとした支払い計画を立てなければいけません。
その計画の立て方や利息の計算方法などを見てみましょう。
利息の計算方法

借金をするなら金利が低い方がお得なのは、ほとんどの人が知っていることですよね。
でも、返済計画を立てるには、ただ金利が低いだけではなく、実際にどれくらいの利息がかかるのかを計算できなくてはいけません。
金利は主に年利か月利があり、それぞれの利率を借入元本に掛けることで実際に支払う利息の計算ができます。
銀行カードローンや消費者金融のキャッシングでは、手数料などの諸経費を加えた実質的な金利である実質年率を表示しており、以下のように計算ができます。
しかし実際には1ヶ月ごとに返済をしなくてはいけません。
1ヶ月間にかかる利息は、以下のように計算できます。
具体的な借金返済例

利息の計算方法を覚えたら、今度は返済シミュレーションをしてみましょう。
銀行カードローンや消費者金融の実質年率は、大体が18%前後です。
実際に10万円を実質年率18%で借りて、毎月1万円ずつ返済を行った場合の残債額の変化を見てみましょう。
1ヶ月分の利息の計算式は、次の様になります。
また、借入元本の充当額の計算式は、次の様になります。
そして、返済後の残債は、次の計算式で算出できます。
利息計算では、1カ月を30日として計算しています。
初回の利息:100,000×0.18×30÷365=1,479円
初回の借入元本の充当額:10,000-1,479=8,521円
初回の返済後の残債:100,000-8,521=91,479円
次回の返済月の利息は前回の残債に金利をかけて計算するので、2回目の利息は以下のようになります。
2回目の利息:91,479(初回返済時の残債)×0.18×30÷365=1,353円
2回目の借入元本の充当額:10,000-1,353=8,647円
2回目の返済の残債:91,479-8,647=82,832円
3回目の利息:82,832(2回目返済時の残債)×0.18×30÷365=1,225円
3回目の借入元本の充当額:10,000-1,225=8,775円
3回目の返済の残債:82,832-8,775=74,057円
全ての計算を行うと、次の様になります。
借入額10万円、実質年率18%、毎月1万円づつ返済した場合
返済回数 | 借入元本の残債 | 1ヶ月分の利息 | 借入元本の充当額 | 返済後の残債 |
1回目 | 100,000 | 1,479 | 8,521 | 91,479 |
2回目 | 91,479 | 1,353 | 8,647 | 82,832 |
3回目 | 82,832 | 1,225 | 8,775 | 74,057 |
4回目 | 74,057 | 1,095 | 8,905 | 65,152 |
5回目 | 65,152 | 963 | 9,037 | 56,115 |
6回目 | 56,115 | 830 | 9,170 | 46,945 |
7回目 | 46,945 | 694 | 9,306 | 37,639 |
8回目 | 37,639 | 556 | 9,444 | 28,195 |
9回目 | 28,195 | 417 | 9,583 | 18,612 |
10回目 | 18,612 | 275 | 9,725 | 8,887 |
11回目 | 8,887 | 131 | 8,756 | 0 |
(単位は全て円、利息は1カ月30日で算出)
そうすると完済までに11ヶ月、支払うべき利息の総額は9,018円になるということが分かります。
なお、実際は月の日数が28日~31日と前後しますので、返済のタイミングよって金額が多少変わってきます。
自動計算できる返済シミュレーションを使うと便利
返済計画を立てる時に、電卓を用いて手計算を行うと計算量が多いので、計算ミスをしやすいです。
ほとんどの金融機関の公式サイトでは、必要項目を入力すれば返済シミュレーションを自動で行うサービスを提供しています。
自動計算してくれるサービスを使うと、計算ミスを防ぎやすくなります。
そのため、返済計画を立てる際は手計算より公式サイトの自動計算できる返済済シミュレーションを使うことをお勧めします。
公式サイトの返済シミュレーションを使って返済回数を算出
毎月1回、返済を行うとして、完済まで何回支払う必要があるのかを知りたい場合には、公式サイトの返済シミュレーションに借入額と借入金利、毎月の返済額を入力して算出します。
例えば、借入額を5万円、借入金利を18.0%、毎月の返済額を5千円と1万円にした場合の算出結果は次の様になります。
毎月の返済額 | 完済までの返済回数 |
5千円 | 11回 |
1千円 | 6回 |
公式サイトの返済シミュレーションを使って返済額を算出
毎月1回返済を行い、返済回数を決めた場合に、毎月の返済額は幾ら払う必要があるのかを知りたい場合には、公式サイトの返済シミュレーションに借入額と借入金利、返済回数を入力して、毎月の返済額を算出します。
例えば、借入額を5万円、借入金利を18.0%、返済回数を3回とした場合の算出結果は次の様になります。
返済回数 | 借入元本の残債 | 1ヶ月分の利息 | 借入元本の充当額 | 返済後の残債 |
1回目 | 50,000 | 750 | 16,420 | 33,580 |
2回目 | 33,580 | 503 | 16,667 | 16,913 |
3回目 | 16,913 | 253 | 16,913 | 0 |
(単位は全て円)
毎回の返済金額は17,170円となり、支払利息の合計は1,506円となります。
借金返済の計画の立て方のコツ

借金返済の計算方法、返済シミュレーションの使い方が分かったら、自分用の返済計画を立てていきます。
ここで大事なのは、完済までの期間が長引けば長引くほど利息の総支払い額が増えるという点です。
月々の支払額を減らせばその月の負担は減りますが、借金額の減りがなかなか減らないので完済までの期間が長引きます。
返済期間が長引けば、その分利息もどんどん増えて行きます。
あまり高過ぎる金額を設定して返済できなくても困りますが、順調に借金返済をするにはできるだけ月々の支払額を多くすることです。
ATMなら1,000円から返済できることも多いので、1,000円単位で返済額を増やしてみましょう。
そして一度立てた返済計画は強い意思を持って実行していきます。
このことを守れば、借金をしても返済不能に陥ることはないでしょう。
借金返済の計画の立て方の流れ

ここでは、一般的な返済計画を立てるまでの処理の流れについて、解説をしています。
返済計画を完成させるまでの流れは、次の様になります。




上記、「項目1.家計の収支を確認して、収入アップや節約などで収支の改善を実施」では、家計簿を付けていることが前提となります。
もし、家計簿をつけていないのなら、借金をこれからする、或いは既に借金をしている状況だという事をわきまえて、すぐにでも家計簿をつける習慣を身に付けてください。
借金返済に多くのお金を割り当てるには、家計の収入を増やす、あるいは支出を減らすという2通りの方法があります。
収入を増やすことは容易ではありませんが、家計簿をつけてしっかりと支出の管理をしていれば支出を減らすのは割と簡単にできます。
家計簿の支出には、次の様な項目があります。
- 家賃
- 水道光熱費
- 被服費
- 食費
- 通信費
- 交際費
- 自動車維持費
- 遊興費
- 日用品費
- 医療医
- 生命保険料
- 教育費
- 雑費
医療費と教育費は、削減すべき項目ではありませんが、その他の項目は節約が可能なので、支出内容を見直すことで支出の削減が可能です。
収入アップと節約による支出削減の検討を行った上で、返済計画の具体的な立案に取り掛かりましょう。
上記、「項目2.毎月、借金返済に充てることができる金額を確定」では、借金返済の金額は出来るだけ多い方が良いですが、急な出費があった場合に備えて、返済可能な限界額より少しだけ少ない金額を毎月の返済額に設定しましょう。
そうすれば、返済計画を立てたのに急な出費で予定が狂ってしまい、その結果、返済計画を立て直さなくてはならないという事態を防ぐことができます。
上記、「項目5.妥当な場合は返済計画が完成、妥当でない場合は項目1.に戻る」は、算出した返済シミュレーションの結果に納得が行けば、それを返済計画とします。
もし、算出した返済シミュレーションの結果に納得できなければ、項目1に戻って家計の収支の改善から再度検討を行い、再び返済計画の立案に取り組みます。
上述しましたが、毎月の返済負担と総利息額はトレードオフの関係があり、どちらかを良くすれば、もう一方は必ず悪くなります。
つまり、返済負担を軽くする為に毎月の返済額を少なくすると、完済までの総利息額は増えます。
この逆で、返済負担を重くして毎月の返済額を多くすると、完済までの総利息額を減らすことができます。
「公式サイトの自動計算返済シミュレーション」と上記の「返済計画を完成させるまでの流れの項目1~5」を利用して、自分の家計状況にあった月々の返済額を確定して、ベストな返済計画を立てる様にしましょう。
繰上返済の考慮
会社員であれば、ほとんどの方は夏と秋にボーナスが出ると思います。
借金を抱えている状態で、ボーナスを買い物などで消費したり、貯蓄をしても、非効率的なお金の使い方になってしまいます。
借金は残高に比例して利息額が決まるので、借金残高が減れば利息額も減ります。
そのため、ボーナスなどの臨時収入を得たなら、そのお金を借金の繰上返済に充てましょう。
返済計画を立案する段階で、受け取れるボーナスの金額に目途がつくのなら、ボーナスによる繰上返済を考慮した返済計画を立てると良いでしょう。
ボーナスを考慮することで、半年ごとに大幅に借入残高を減らした返済計画を立てることができます。
返済計画で計算を行う際の留意点

ここでは、返済計画を立案する際に気を付けるべき点について解説をしています。
借入金利は実質年率で算出
返済計画を立てる際に、利息計算を行いますが、その時に借入金利を用います。
計算に用いる借入金利は、手数料なども含めた実質年率の値かを確認する必要があります。
せっかく、返済計画を立てて利息額も算出をしたのに、返済の度に予定外の手数料がかかってしまったのでは、返済計画が狂ってしまうことにもなりません。
返済シミュレーションに借入金利の値を入力する前に、その借入金利が実質年率の値かを確認する様にしましょう。
借入金利が変動制の場合
銀行のカードローンや消費者金融からのキャッシング、クレジットカードで借金をした場合は、一般的には借入金利は固定となります。
ですが、住宅ローンの様な返済期間が数十年と長期に及ぶローンは、一般的には借入金利は変動制を採用している場合が多いです。
将来起こる借入金利の変動を予測することは、変動タイミング、変動幅ともに困難なので、借入金利の変動を予測して返済計画を立てることはできません。
ですので、借り入れをしたお金の借入金利が変動制を採用している場合は、借入金利が変化したタイミングで、返済計画の立て直しをする様にしましょう。
公式サイトで公開されている自動計算の返済シミュレーションを使えば、あまり時間を掛けることなく、返済計画の立て直しを行うことができます。
返済計画で計算をした結果、返済が困難な場合

返済計画を立てる際に、家計の収支改善を出来る限り行ったが、それでもなお多額の借金の為に返済が困難で、完済の目途がつかないという方もいると思います。
その様な返済が困難な方が採るべき対応策について、ここでは解説をしています。
借金相談をする
返済の目途がつかない場合に、借入先の金融機関に約束の期日までに所定額の返済をしないで放置をすると、ペナルティーとして遅延損害金が加算されます。
そうなると、ますます返済が厳しくなってしまいます。
ですからそうなる前に、返済困難な状況を一人で悩むのではなく、借金相談をする様にしましょう。
借入先の金融機関に借金相談
借金返済に困ったら、最優先して相談すべきなのは、お金を借りた金融機関です。
ほとんどの金融機関では、返済に関する相談窓口を用意しています。
相談をした場合、借金の減額を実現するのは厳しいと思いますが、返済日の猶予は得られる可能性が高いです。
弁護士・司法書士に借金相談
お金を借りた債務者が借入先の金融機関に相談をしても、借金の減額まで実現するのはかなり難しいです。
そのため、借入先の金融機関に相談をしたが、話し合いがまとまらず、依然として借金返済が厳しいという方もいると思います。
その様な方にお勧めしたいのが、債務整理を専門として取り組んでいる弁護士あるいは司法書士に相談をすることです。
債務整理とは、法律などを駆使して、借金の減額や免除を実現する借金の整理方法のことです。
裁判所を利用することもあるため、債務整理の手続きは、債務整理を手掛けている法律事務所あるいは司法書士事務所に依頼をします。
ですから、借金相談をする場合は、債務整理を手掛けている法律事務所の弁護士、あるいは司法書士事務所の司法書士と行います。
弁護士や司法書士と聞くと、相談費用が心配という方もおられると思いますが、現在、多くの法律事務所・司法書士事務所では、借金問題に関しては初回30分間を無料相談にしている所が多いです。
ですので、インターネットなどを使って債務整理を扱っている地元の法律事務所・司法書士事務所を探して、無料相談を行っている所で、借金相談をしてみると良いです。
無料相談の時間が30分だけだと、30分を超えたらお金が掛かってしまうのではと心配する方もいるかと思います。
ですが、自分の借金状況と家計の収支、財産について整理した資料を用意して、借金相談に臨めば、30分間あれば、あなたの事情にあった債務整理方法を提案してもらうことができます。
弁護士あるいは司法書士に借金相談をすれば、提示された解決方法に納得できた場合は、そのまま債務整理手続きを依頼することができます。
債務整理の方法について
債務整理の方法には、任意整理、過払金返還請求、個人再生、特定調停、自己破産があります。
ここでは、それぞれの債務整理方法の特徴とメリット、デメリットについて、簡単に説明をします。
任意整理
任意整理の特徴は、裁判所などを使わずに、直接、借入先の金融機関と返済負担軽減の交渉を行うことです。
メリットは、裁判所を使わないので、裁判費用が不要、そして他の債務整理方法と比較すると、あまり時間を掛けずに借金問題を解決できることです。
デメリットは、任意の交渉なので、交渉そのものに応じて貰えなかったり、話がまとまらず物別れに終わることもあるということです。
過払金返還請求
過払金返還請求の特徴は、債権者に払い過ぎた利息金の返還を求めて、場合によっては訴訟も行うということです。
メリットは、債権者に払い過ぎた過払金があった場合には、そのお金を取り戻すことができることです。
デメリットはほどんどありませんが、強いてあげれば過払金の請求には10年間という時効期間があるので、10年以上経過している過払い金の回収はできないという事です。
個人再生
個人再生の特徴は、借金を大幅に圧縮できるという事です。
メリットは、住宅ローンを返済中の家を失うことなく借金の整理ができることです。
デメリットは、個人再生を利用するには、安定した継続的な収入がなければならないという事です。
特定調停
特定調停の特徴は、裁判所で選ばれた調停委員が当事者(債権者と債務者)の利害調整を行うという事です。
メリットは、債務整理費用を安く抑えることができるという事です。
デメリットは、調停委員が話し合いのサポートをしてくれますが、話がまとまらずに終わることがあるということです。
自己破産
自己破産の特徴は、破産申し立てを裁判所に行うことで、経済的な破綻状態から救済して貰えるということです。
メリットは、裁判所から免責許可を受けることができれば、原則として借金は全て無くなるという事です。
デメリットは、高額な財産は全て失って、必要最低限の財産しか手元に残らないという事です。
なお、「完済後の過払金返還請求」を除いた債務整理全般のデメリットとして、債務整理を実施してから5年間から10年間ほど、金融機関から借金ができなくなる点があります。
債務整理を行うと金融機関のブラックリスト的なものに登録されるからです。
ですから、債務整理を行うと5年間から10年間は借金ができなくなるので、その間は現金生活を送るしかなくなります。
借金ができない期間は、クレジットカードも利用できなくなるので、買い物の際に不便を強いられます。
ですが、再度、借金を抱え込んで返済に苦しむことがないので、借金できない期間を上手に利用して借金をしない生活習慣を身に付ける様にすると良いです。
借金を放置してしまうと
借金が払えないからと言って放置をし続けると、債権者から取り立てや督促を受けます。
取り立てや督促さえも、無視をし続けると、最後は財産の差押えが行われます。
財産の差押えが行われると、債務者の銀行預金口座や給料が真っ先に差押え対象となり、借金の回収が行われます。
差押えが行われる状態まで借金を放置した場合は、遅延損害金も積もり積もって、借金総額はかなり高額になります。
借金返済が厳しいと思ったなら、できれば遅延損害金が発生する前に、借入先の金融機関や債務整理を扱っている弁護士・司法書に借金相談をした方が良いです。